最近色々旅に出ていて箱根と黒部と金沢と琵琶湖と諏訪湖と、
色々行ってました。
その中でちょっとあった話を。
両親と行った黒部峡谷はトロッコ列車なるものが走っているのですよ。
なにしろ峡谷なのでものすごい山奥。えらい傾斜。
途中の駅で降りて歩けばちょこちょこ温泉なんかも湧き出ていて
秘湯的なポジションで黒薙温泉なんていうものもあります。
まあせっかくだから行こうねってなるんだけど、なにしろ山を登って下ってまた登ったら川まで降りるとやっとあるような所。
さすがの秘湯。
一応従業員の通用口として直でいけそうなトンネルがあって
それが温泉宿から駅まで通じてるようなのだけど
そこは鉄格子の扉で閉まっていたし真っ暗にしてあったので
まあ通ってみたいけどねーという気持ちもありながら
宿にて受付を済ますよ。
暇そうなおじさん2人だけの小さい温泉宿で人なんか全然いない。
谷底に宿と温泉が張り付いているような工事現場のような荒い作りで、
洪水が来たらもろとも流されるなーとぼんやり思いながら服脱いじゃうよ!
女湯の露天風呂は宿から少し離れた所にあり、
それはそれは野趣あふれるところで紅葉を見ながら十分に堪能しました。
宿の中にも内湯があるそうなので、行ってみると川辺へ出られる扉が
開いていて内湯に入る前にちょっと出てみて滝つぼを眺めていました。
あ、服はまた着てるからね。
ふと、気がつくと後ろに作業服で白髪のおじいさんが扉のとこに立ってた。
「温泉ですか?」
とかニコニコして言われたのでてっきり従業員の方と思って
ああハイえへへwみたいな感じで生返事をしたよ。
そのうちおじいさんは仕事を終えたのか扉を閉めて戻っていき、
母親と二人で滝凄いねーヤバいわ―なんて話して
川辺もひとしきり見終わったので内湯に入ろうと戻り、扉に手をかけたよ。
ガチャ。
開かねえ。
…。
ガチャガチャ。
…閉まってますやん!
宿の構造上、ここが開かなきゃ宿には入れないし外にも出れないし
他の客もいないしいっそ川を泳いで別の岸に…、いやこの滝つぼ落差からす
るに一回落ちたら半年は巻き込まれてそうだなその頃にはもう春か…
ってあばばばばb
いかん、落ち着いて考えてみる。
とりあえず扉を叩く叩く。大声出す叫ぶ。
全部滝が音を綺麗に消してくれました、マイナスイオンが気持ちいいです。
他に入れる場所はないかと探すともうひとつ扉を発見。勿論開かない。
人気も相変わらずなく、頼りの父親はこれまた離れた上流にある
男湯に浸かりに行っているので来る訳もなく。
しょうがないのでガラスを割って入るしかないと思い、
そこらにあったバール、いや何故バールがあるのか意味が分からんのだけど
見つけたので実施しようとしたところ母親が危ないことはやめてと止める。
なので、今度はひたすらバールで扉をガンガン叩いてアピール。
音量が上がったせいか、時間はかかったけれどそのうち
ちょっと若めの従業員のおじさんが飛んできました。
第一声が、
「な、何でバール持ってるんですか?!」
知らんがな、そこらにあったんじゃ。
というかお宅の所の白髪の従業員に閉め出されて
たんですよ何なんですかもう!
とか言ったら、
「え。そんな職員はいませんよ?」
だって。
うちにそんな白髪のおじいさんはおらんですと。
意味が分からんじゃああれは誰ですか。
結局おじいさんはいないし埒が明かなくて、
風呂から戻ってきた父親も合流してきたことだし、
しょうがないので帰ることに。
帰りしな、冒頭に書いた通用口のトンネルの前を通ると
薄く明かりがついていた。
あ、電気付いてるよ!
と見に行くと扉も開いていた。
鉄格子の隙間から中をのぞくと点々と明かりが奥へと
伸びていってるのが分かったのだけど、よくよく見ると
何かが動いている。
…?
あ、人だ。
暗くてあまり見えないのだけど、人が背中を丸めて奥へと
ひょこひょこ歩いている。
間違いなく、さっきの白髪のおじいさんだった。
え?!ちょwwwなにそれこわいwwwww
とか、こちらで騒いでいるのに見向きもせずトンネルの奥へと
ゆっくり消えていきましたけどあれはいったい何だったのか…。
みんなも秘湯に入る時は閉め出しに気を付けようぜ!